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経営理念の定着・浸透

経営理念の定着・浸透

経営理念の定着・浸透

企業によっては、昔より社是、社訓として、創業者や経営者の言葉が額縁に入って社内に掲げられているのを見かけることがあります。それらを、社員は共有しているでしょうか?社外の人にきちんと説明できるでしょうか?
理念を作り上げるプロセスと理念が組織に定着・浸透することは、組織パフォーマンスに大きな影響を与えます。時代を超えて理念を基軸に成長過程をたどる企業には、理念を組織全体に浸透させ、具現化する働きかけが必要です。
新たに人材の採用などで新しい文化や異なる価値観を持った人たちが入社し、組織として1本筋の通った考え方や価値観の共有が難しくなってきたと感じる場合は、経営理念の見直しを視野に入れます。そして、出来上がった経営理念やビジョンを社内に定着させるために、社員に対する「行動規範」を定めたり、社内に存在する様々な基準(採用基準、活動基準、評価基準など)と整合性を取っていくことが重要になります。
カレンコンサルティングは、企業が今日まで育んできた組織文化(組織風土)を加味し、事業だけでなく、既存の規程・制度・仕組みなどの総合的観点から経営理念を作り上げていきます。

『ビジョナリー・カンパニー』から学ぶこと:建築の最高傑作は「会社そのもの」

『ビジョナリー・カンパニー』には時代を超えて反映し続ける会社を築くためには、建築家のように組織を築きあげると記されています。そして、ビジョナリー・カンパニーの創業者は、「時を告げる」ではなく「時計をつくった」と…。
ここから学べることは何でしょうか? 下図のように、理念実現に向けて不屈の努力や働きかけをしているのです。ビジョナリー・カンパニー

経営理念が組織に定着・浸透しない理由

朝礼で経営理念を唱和している、社長自らが何度も社員に語っている、様々な理念浸透ツールを用いて研修を繰り返し行っている――にもかかわらず、組織に経営理念が定着・浸透していないと嘆く経営者は少なくありません。
いくつかの理由として、「トップの具体的なコミットメント不足」に代表される言行不一致や、「具体的行動をつうじた共通体験の不足」により文化・風土に根付かないこと、「経営システムそのものの未整備」などが挙げられます。

経営理念が組織に「定着・浸透」する構造とメカニズム

経営理念の組織への定着・浸透は、経営理念単独では成し得ません。
下図で示すような「経営システム」と「組織文化(組織風土)」を同時に考えることが重要です。この時、企業が業績・成果を上げるためには、社員の行動や学習が伴わなければならないことを念頭に入れましょう。

経営理念が組織に「定着・浸透」する構造とメカニズム

この社員へ動機づけ・判断基準・コミュニケーションを与えるものが「経営理念」で、社員の意思決定や心理的エネルギーに影響を与えます。同様に「経営システム」には仕事の評価として人事評価制度や、社員への報酬として給与・賞与などのインセンティブが存在します。ここでいうインセンティブ(報酬)は、“物質的インセンティブ”と呼ばれます。お金や職位などの目に見えるものです。その一方で、経営理念自体は“精神的報酬”ともいわれ、社会的な意義や貢献、人に認められることなどの目に見えないものです。
そして、組織文化(組織風土)は、社員へ新しいパラダイムや価値観を与えます。

小手先の「経営理念の組織への定着・浸透」に走らないために

経営理念が組織に定着・浸透している状態とは、経営理念が「組織文化(組織風土)」の一部になることが必要です。これは組織風土そのものが、“なかなか変わらない”  “変えにくい”という特性を持つからです。なぜなら、個人のパラダイムや価値観に起因する認識と思考パターンは誰一人として一致することがないからです。組織文化については 組織風土にて詳しく説明します。
したがって、変えにくい「組織文化(組織風土)」を変えようとせずに、「経営システム」の構成要素である人事評価制度などを変える、経営理念を社員へ説明するためにハンドブックを作る、あるいは行動規範を作る、理念浸透研修を行うなどに走りがちです。実際、このようなコンサルティング会社や教育研修会社は数多く存在します。
もちろん、これらの仕組みの変更、ツールの作成、研修の実施がダメだとは言いません。やらないより、やったほうが良いでしょう。しかし、それは「社員の経営理念に関する理解が深まる」だけで、本当に腹に落ちたというものからは程遠いものでしょうし、組織風土が変わるわけではありません。

重要な整合性と一貫性

経営理念を作る、あるいは見直す。その目的や理由は企業により異なるでしょう。しかし、組織に定着し、組織文化として根付くことを願うことは変わりません。ここでは、経営理念とそれ以外の経営施策に関して、「整合性」と「一貫性」について述べます。
下図をご覧ください。特に現場の社員の視点で考えてみることが重要です。
重要な整合性と一貫性

経営理念を作り、経営戦略を策定する、経営計画を立案する…これはある意味でまっとうな流れです。
現場の社員の視点で考えます。例えば、計画の観点で見るとしましょう。生産部門であれば、日々、気にするものは生産計画でしょうし、営業部門であれば営業計画でしょう。開発部門であれば開発計画。これらの計画の源流は、どれも経営理念です。仮に「顧客満足」と掲げられている経営理念の企業において、営業部門が売上げを上げるために、無理やり数字を積み増した営業計画が立てられる。それに従い、営業部門の社員が顧客のためにならない営業行為を行ったらどうでしょうか?あるいは、「お客さまに高品質な製品を提供する」と経営理念が掲げられている企業において、品質担当の役員や管理職が、現場の社員の前で「クレームばかり言ってくるA社は腹が立つ」と発言したら、社員はどう思うでしょうか?
次は、“判断基準”の観点で見てみます。経営理念にそぐわない人材の採用や昇給昇格は、社員のモチベーションが下がることは言うまでもないでしょう。
組織文化(組織風土)は、社員が共有するものの見方や考え方です。これは“価値観”と“パラダイム”によって構成され、社員の動機づけの要因となります。この結果、社員がどのような行動をするかが決まり、自社にとって業績などの成果を上げるかどうかが決まります。
「片方を取れば、もう片方が立たない」ような矛盾した行動や発言を生まないため、また経営理念に合わないような計画や採用、登用が起きないためにも、判断基準を企業の仕組み、制度、組織構造、業務プロセスなどと「整合性」が取れ、「一貫性」のある経営施策をとらなければなりません。
つまり、経営理念が組織に定着・浸透することは『筋が通った』ことと同義であり、経営理念だけを作っていくら社内で研修や唱和を繰り返しても、組織文化(組織風土)として根付くことはないのです。

(例)経営理念の“軸”をずらさないためのポリシー策定

一例として、経営理念から様々な戦略のポリシーまでの落し込みでも同様に一貫性と整合性が求められます。図中、“イズム”はその企業らしさを示したものです。このイズムが、様々な施策であるポリシーと整合性と一貫性が取れていることが必要です。
経営理念の“軸”をずらさないためのポリシー策定経営理念は、判断基準を与える効果があります。
例えば、経営理念に顧客へ提供する価値を高々に掲げている場合の製品ポリシーは顧客価値が満足するかどうかとなります。
組織の円滑なコミュニケーションを目指したい。しかし、多くの役職者が存在するため重要な意思決定に時間がかかる、現場からの情報伝達・部門間の調整にも時間がかかる、その結果、部門間でのセクショナリズムが目立つようになったなど。このような事態を引き起こしている原因は、組織構造にあります。

「経営システム」側からのアプローチ

「経営システム」側からのアプローチ経営理念が組織に定着・浸透するためには、経営理念単独では成し得ません。「経営システム」と「組織文化(組織風土)」を同時に考えることが重要です。
ここでは、「経営システム」側のアプローチを考えます。 経営理念の策定 の後のプロセス(2nd. Phase)として、“組織定着と仕組みとの整合性”を以下に示します。

 

2nd. Phase “組織定着と仕組みとの整合性”

これは、一般的によくとられる施策です。経営理念の社員への啓蒙や、組織への定着を目的として、ハンドブックを作成する。または経営理念が出来た、あるいは変わったという証を社内外に発信するために、CI(Corporate Identity)やVI(Visual Identity)に取組む企業も少なくありません。
なかには、人事評価などの制度変更を行う企業もあります。これは、経営システムの中のインセンティブを社員に与えることになります。
これらは、比較的取組みやすいので、経営理念の組織への定着の一環として、社内教育や研修が行われることがあります。しかし、自社の経営理念を社員教育しないと理解されない、定着しないということは本来おかしいと考えるべきです。

「組織文化(組織風土)」側からのアプローチ

「組織文化(組織風土)」側からのアプローチ経営理念が組織に定着・浸透するためには、経営理念単独では成し得ません。「経営システム」と「組織文化(組織風土)」を同時に考えることが重要であると述べたとおりです。
ここでは「組織文化(組織風土)」側のアプローチとして考えますが、「経営システム」よりもはるかに難易度が高いものが組織風土であり、変えていく“組織風土改革”です。詳細については「 組織風土」で示します。

経営理念の定着に欠かせない「ハード」と「ソフト」

これまでに述べてきた経営理念の組織への定着・浸透は、私たちの特長である「ハード」と「ソフト」にそのまま当てはまります。これを図にすると以下のようになります。
ハードが「経営システム」に対応し、ソフトが「組織文化(組織風土)」にそれぞれ対応します。

経営理念の定着に欠かせない「ハード」と「ソフト」

「箱モノ(ハード)あっても魂(ソフト)入らず」と言うように、経営理念もまた、箱モノ(経営システム)だけでは組織に定着・浸透しないことは明らかです。

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