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コンサルティング

Consulting

仕組み

Ⅱ:動機づけ・インセンティブ

動機づけ・インセンティブ

動機づけ・インセンティブ

“経営システムによる働きかけ” を『仕組み』と位置づけ、「組織構造( 組織設計)」に続き、「インセンティブシステム」について示します。

「個人のモチベーション」と「組織のインセンティブ」の関係

組織の中の個人への動機づけとして、『マズロー(Abraham Harold Maslow)の欲求五段階説』が知られています。人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低次の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲するというものです。
人間の仕事における満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるという単純なことではありません。「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛生理論)は別ものであるとして、『ハーズバーグ(Frederick Herzberg)の衛生理論・動機づけ要因』が知られています。
この2つの古典的な考え方は、一般にはそれぞれが独立された理論ですが、伊丹敬之氏の著書『ゼミナール 経営学入門(日本経済新聞社)』で示されている“組織が与えるインセンティブ”の考え方を当てはめると、それぞれがお互いに関係性があって成り立つことがわかります。カレンコンサルティングでわかりやすくチャートにしたものが下図です。

動機づけとインセンティブ

マズローの高次欲求である「自己実現欲求」や「尊厳欲求」は、“組織が与えるインセンティブ”としては「自己実現的インセンティブ」と「理念的インセンティブ」でしか得ることができません。特に「理念的インセンティブ」は、経営理念などの会社の基本的価値観や存在意義から満たされるものです。金銭などの物質的なインセンティブとはまったく異なるもの、たとえば自らが属する会社組織への誇りや信頼、世の中から必要とされる存在意義(そのような商品やサービスを提供している)などの価値観や使命感に基づくインセンティブは人間に行動を促す強力な動機づけとなります。すなわち、 経営理念で述べた「組織の求心力や帰属意識を高めるための経営理念」であることがわかります。ハーズバーグの衛生理論においても、これら高次のインセンティブは“動機づけ要因”として当てはまり、この満足度は“衛生理論”の満足度と比べて際限がありません。つまり、“自己実現的インセンティブ”や“理念的インセンティブ”を見出した個人は、組織の中で自ら生きがい・やりがいを見出します。そして、自らの価値観と一致させ、使命感に燃え、結果的に非常に高いパフォーマンスを発揮する人材になる可能性を秘めています。
図中、仕組みに関するインセンティブは「物質的報酬」に相当します。『欲求五段階説(マズロー)』では「低次欲求」に位置づけられ、『衛生理論・動機づけ要因(ハーズバーグ)』では「衛生理論」に位置づけられます。「評価報酬システム」は「人事評価制度」や「賃金制度」を総称したもので「仕組み」に該当することがわかりますが、低次の物質的報酬(インセンティブ)をカバー過ぎるにすぎません。多くの社員は人事評価や賃金、人材育成に関する事項には関心を持っているものです。これらの仕組みを活用し社員のモチベーションを高め、ハイパフォーマンスを発揮して組織へ貢献してもらうことが重要です( 制度設計・構築)。

「お金で釣る」ような物質的インセンティブを与え過ぎないこと

インセンティブは、配分のバランスに気を付けなければなりません。特に「物質的インセンティブ」が大きくなりすぎると「衛生要因」への依存度が高くなり、徐々に動機づけとして機能しなくなるので注意が必要です。わかりやすく言えば「お金で釣る」ような動機づけをしていても、いずれモチベーションは頭打ちになり、仕事そのものの真剣度もそれ以上に高まることがなくなるよ…ということです。極論ですが、「お金をくれなければちゃんと仕事をやらない」という状態になったら、業績が悪くなった途端に会社を去るでしょう。お金のために働くということは経済的な観点からは欠かせませんが、企業の目指すべきところは精神的インセンティブを与える仕組みを作り上げて、世の中や会社に貢献できる人材を増やしていくことではないでしょうか。

組織が与えるインセンティブ

組織における動機とインセンティブの関係を考えれば、個人が持つ働く動機に対して、インセンティブがうまくマッチすれば、モチベーションは高まります。組織が与え得るインセンティブとしては、大きく次の5つが挙げられます。

報酬種類 インセンティブ 説明 関連
物質的報酬
(ハード)
物質的 給与・賞与など経済的報酬を典型とする、人の物質的な動機を刺激するインセンティブです。 仕組み
評価的 組織の中での行動を、組織が評価すること自体がもつインセンティブです。たとえば、上司や同僚から認められたり、ほめられたりすることが該当します。 仕組み
業務プロセス
精神的報酬
(ソフト)
人的 組織で接する人の人間的魅力や良好な人間関係がもたらすインセンティブです。「あの人のためならば」「あの人と一緒に仕事がしたい」といったことがモチベーションを引き出す要因となります。 組織風土
仕組み(動機づけ・インセンティブ )
理念的 経営理念や企業ビジョンなどをモチベーションの源泉とするインセンティブです。人が「意義がある、世の中に貢献する仕事をしている」などと思えるとき、組織への帰属意識や忠誠心が高まります。 経営理念
経営戦略
自己実現的 組織が自己実現の機会を与えることによって、モチベーションを高めるインセンティブです。権限を委譲したり、仕事の幅と奥行きを広げることなどが考えられます。 経営理念
組織風土
仕組み( 動機づけ・インセンティブ / 制度設計・構築

仕組みだけではなく全体を最適設計すること

ここで示す仕組みで付与できるインセンティブが動機づけとなり、モチベーションを高めることはできます。同時に経営理念、経営戦略、業務プロセス、組織風土などあらゆるものが仕組みに関連していることもわかります。
カレンコンサルティングが考える仕組みづくりとは、経営理念や仕組みなどのどれか1つをやれば良いというものではなく、整合性や一貫性を外さず、全体を最適化し創り上げていくことです。

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