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実績

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実績

菊水電子工業株式会社様

開発プロセス改善とエンジニア育成で
さらなる成長ステージを目指す

菊水電子工業株式会社(JASDAQ上場)
事業内容 各種電子計測器、産業用電源装置、ソフトウェアの設計、製造、販売及び輸出入
設立 1951年8月8日
所在地 横浜市都筑区茅ケ崎中央6番1号 サウスウッド4階
資本金 22億125万円
代表取締役 小林 一夫
従業員数 293名
URL https://www.kikusui.co.jp/top.php

※:実施当時の情報です。

■テーマ

(1)『業務改善プロジェクト』

(2)『人材育成の仕組みづくり』

■ことの背景・抱える課題

同社は電源関連装置の国内の有数メーカーとして知られている。これら製品のPLC(製品ライフサイクル)は総じて長く、また製品単体における差別化もしにくい特性を持っている中で同社は老舗メーカーならではの性能はもちろん高品質・高信頼性をウリに幅広く製品ラインアップを揃えている。ところが昨今はEV(電気自動車)等に代表される自動車業界から電源関連装置のニーズが急激に高まり、競争に勝つために市場へ迅速な製品投入が迫られている。かねてより同社は様々な改善活動を行ってきたが、この度、開発部門総掛かりで開発期間のさらなる短縮を目指すこととなった。
さらにエンジニアの早期戦力化も急務である。従来、若手エンジニアの育成は職場におけるOJTがメインであったが、日夜開発に明け暮れる現場においては、じっくりと人材育成にかける時間はおのずと限られている。同社は長年培った技術やノウハウなど多く保有しており、これらの資産を人材育成により効果的に活用するために、育成のカリキュラムを体系的に構築する必要に迫られていた。

■支援内容

(1)『業務改善プロジェクト』:業務改善

開発部門の全メンバーが参画し、まずは現状の開発プロセスを可視化することから着手した。可視化の過程を通じて、様々な問題が顕在化し、これらの原因分析から解決策を見いだし、最終的に5つのテーマを設定し、グループ編成を行い改善活動に取り組むこととなった。
はじめは同社に限らず、エンジニア特有の思考(納得しないと先に進まない等)の枠からなかなか脱却できない面も見られた。しかし、多くの検討や分析を全員で繰り返し取り組むことで、徐々にコミュニケーションも活発になった。会話の中には開発期間を短縮することは自分自身に余力が生まれることはもちろん、お客様のためにもなり、競合メーカーにも優位性を示すまたとないチャンスだという認識が生まれてきたこと感じ取ることもできた。現在、同社はさらなる開発業務の効率化を目指し、毎週、プロジェクトの活動時間のリソースを定め、熱い議論を戦わせている。

(記:Carren Consulting)
業務プロセス


当社の中期経営計画のアクションプランの一つとして全員参加による開発改革を掲げ、R-DIP (R&D Department Innovation Program)と称して活動を開始しました。
本活動は現場中心のボトムアップに近い活動ですが、大きな意思決定や経営課題に近いものはトップダウンのアプローチとしました。当初、この活動を全員に浸透することに苦労しましたが、現在では目論見通りほぼ全員が活動に参加するとともに活動は定常化し、部門内が活性化した状態になっていると思います。またそれによって当社の風土・文化にも変化が見られています。引き続きこれが継続的改善となり中期経営計画の経営目標達成につながることを期待しています。

(技術本部 執行役員 武田卓也:R-DIP プロジェクト責任者)


(2)『人材育成の仕組みづくり』:仕組み

人材育成基本方針策定から着手。策定にあたり重視したことは同社の経営理念をスタートラインとする基本的価値観他、人事評価制度の要求項目や様々な社内規程などを参照しながら、『業務改善プロジェクト』で顕在化した人材育成に関する問題を解決すべく、人材育成の仕組みづくりのシナリオを作ることから開始した。

求める人物像は何か? エンジニアにも様々なタイプがいるが、タイプごとにどのような特性、思考&志向を持っているのか?、キャリア・デザインは昨今の“働き方改革”も意識しながらどのようなステージを経て個々人が成長していくか?、業務を行うに際して要求されるスキルや知識は何か?、エンジニアだから専門性ばかりを高めるのではなくマネジメントスキルも身につけないとダメだ…など、何度も議論を重ねてきた。複数のキャリア・パスを用意する、教育体系図ができあがり、これらの中身としてカリキュラムやプログラムも出来つつある。

(記:Carren Consulting)
仕組み(制度設計・構築)

■メンバーの声

『人材育成の仕組みづくり』メンバー:写真左から製品開発一部開発二課 戸嶋龍一氏、グローバル開発部計測一課 エキスパート 米山政明氏、開発推進部開発管理課 主任 若林勝彦氏、製品開発一部開発二課 佐藤京介氏


系統だった人材育成というものが如何に難しいものかということを痛感しました。これまで考えたこともない視点や事柄がいくつもあり、活動を重ねる中でその形が徐々にはっきりしてきた部分も多々ありました。道半ばではありますが、知ることの多い活動であると感じています。私自身まだ5年目ですが、活動をつうじて普段、あまり耳にすることが無かったマネジメントやビジネスのスキルについてもあれこれと考えるようになりました。技術者として専門分野のスキルを高めることは大事ですが、これからは若いうちからマネジメントをきちんと身につけておくことで一段上の技術者を目指したいと考えています。

(製品開発一部開発二課 戸嶋龍一)


社内では私はベテランの領域に位置し、次世代の人材を育成すべき世代となっていましたが、あらためて人材育成と言っても、当初はどうして良いものかわかりませんでした。と言うのも、自分自身があれこれと教わって育ててもらった経験がない世代だからです。今は製品開発規模が昔よりも大きく複雑――低コスト・短納期等、開発部門に対する要求は厳しさを増すばかりです。慌ただしい中で若手エンジニアをきちんと育成する時間など満足に取れません。今回の活動において、若いエンジニア達と熱心に議論することで、スキルや知識等の個人的な問題ではなく、より難易度が高い組織的な問題であることがわかってきました。本活動で若手メンバーと繰り返し議論してきたことがすでに次世代エンジニアの育成に充分貢献したのかも…(笑)。

(グローバル開発部計測一課 エキスパート 米山政明)


『業務改善プロジェクト』で顕在化した人材育成の問題を、この活動メンバーで取り組んできました。これまで人材育成の仕組みに対して、技術本部全体では「エンジニアの育成はOJTで出来ている」ということにかまけて、体系的な人材育成に向き合ってきませんでした。本活動は、社員一人ひとりが技術者または管理者として会社の求める人材、本人が目指す人材へ成長するために必要だと感じています。活動の取りまとめ役をしながら、実作業もこなし(Carrenさんにダメ出しを食らいながらも…笑)、良い経験が出来たと思っています。職場そのもので若手を育て、自由闊達な会社となり、やがては良い製品を世の中に出すことにつながると信じています。

(開発推進部開発管理課 主任 若林勝彦:活動リーダー)


活動の中で、当初、私はキャリアプランといったものは考えた事が無く、これからどのような知識、スキルを身につけなければならないかも明確ではありませんでした。当社にどのようなキャリアパスが存在するか?、それぞれのキャリアに求められる知識、スキルは何か?について、一つ一つ洗い出す事によって、キャリアプランとその実現に必要な知識、スキルを関連付けることができました。自分のキャリアデザインを見直す良い機会になりました。

(製品開発一部開発二課 佐藤京介)


■事務局から活動全体をとおして

写真左から製品開発一部開発二課 榊原将洋氏、山口貴弘氏、開発推進部開発管理課主任 若林勝彦氏


いかに息切れしないで持続可能な活動をするか、という点で苦労しました。現在は部門全体で改善活動が習慣化されており、苦労した甲斐があったと思います。

(製品開発一部開発二課 榊原将洋:R-DIP 事務局)


事務局発足当時はどこから手を付けたらよいか、どんな施策を練っていけば良いのか分からず、何度も話し合いました。それが現在では皆進んで参加する姿を見ることが出来ます。一人の力では出来ないことも菊水全体で進めれば出来るはず。一緒に更に高みを目指しましょう!!!

(製品開発一部開発二課 山口貴弘:R-DIP 事務局)


本活動の支援をお願いするにあたり、色々とコンサルティング会社を調査した結果、カレンコンサルティングにお願いすることとしました。「自分たちで考える」を基本としている企業価値観へ共感に加え、代表の世古さん自身が当社と同業である電子計測器メーカーの開発部門出身の技術者であったことも決め手の一つでした。製品開発におけるプロセス改善はもちろん、経営戦略やマーケティング他組織の課題などの難しい話をしながら、時に勢い余って!?…回路図やブロックダイヤまでホワイトボードに書き始め、若手エンジニアと話す姿も印象的でした。いっぽう、渡邊さんからは業務プロセスの可視化とマネジメントやビジネス領域の人材育成の骨格(後にガイドラインとしてまとめる)づくりなどでご助力いただきました。開発部門全体のR-DIP活動をはじめ、人材育成の仕組みも当社独自の内容に仕上がりつつあります。苦労も多々ありましたが、本活動が菊水にとって躍進の起爆剤となることを願っています。

(開発推進部開発管理課 主任 若林勝彦:R-DIP プロジェクトリーダー)


■後記

長年、同社が蓄積してきた設計資産やノウハウが人材育成に活かされ、開発期間の短縮に弾みをつける。これがさらに短納期開発を可能とする。こんな好循環サイクルが期待される菊水電子工業です。開発プロセスを刷新し、エンジニアの育成も素晴らしい仕組みが構築しつつあります。本業の開発業務の合間を縫いながら、ほぼ毎週、知恵を絞り、議論を戦わせ、ハンドメイドで開発プロセスや人材育成の仕組みを作ってきた同社のエンジニアの根底には、「ゼロベースで世の中にないものを作る」という根っからの技術屋魂があるからでしょうか。
これまでに培った技術や身につけたスキル――これらは製品開発力という武器となり、企業にとって他の何ものにも代え難い資産です。属人的に蓄積される傾向が強いノウハウや創意工夫などは次世代に継承することは容易ではないでしょう。企業が置かれる環境変化の激しさに比例し、開発現場の忙しさは当分解消しません。このような状況下で人材育成をおざなりにしておくと、数年後にボディブローのごとく組織の根幹にダメージを与えます。ベテランと若手が混在した本活動メンバーが真剣に取組み、出来つつある人材育成の仕組み――既に本年度入社の新入社員研修ではこれらプログラムの一部を試験的に導入し、検証を重ねています。研修等の中身も原則、内製としオリジナリティにこだわった素晴らしいものが出来ると確信しています。
今まさに次のより高いステージへとステップアップしようとしている菊水電子工業から目が離せないかもしれません。腕に自信のあるエンジニアはもちろん、電源や電子計測器に関心の高い学生の皆さんには「しっかりプロエンジニアに育てる仕組みがありますよ」と声を大にして言いたいですね。ぜひ、菊水電子工業の門を叩いてみてはどうでしょうか? きっと暖かく迎えてくれるはずです!

(記:Carren Consulting 世古雅人/渡邊清香)
(文中敬称略)